スイセン

日本ズイセンが控えめで凛とした美しさであるのに対してラッパズイセンなど西洋スイセンはもう少し大きく華やかです。 ラッパズイセンは英語で daffodil ですが、 ダフォディルというとすぐにワーズワースの詩‘The Daffodils’を思い出します。 美しいイギリスの湖水地方・その湖の縁や木々の下で踊っているような金色のスイセンの群れ・・・行ったこともないのに情景が浮かんで少しロマンティックな気分になります。 あまり普及していませんが、セッチュウカ(雪中花)とも呼ばれます。寒さに強いスイセンにふさわしいきれいな名前ですね。

スイセンの学名はナルキッスス(Narcissus)で、これはギリシャ神話の美少年ナルキソス(ナルシス)に由来しています。 水面に映った美少年を見て、それが自分とは知らずに恋をし、抱こうとすると水面から姿を消してしまい、しばらくするとまた水面に現れる。 そんな繰り返しの中でナルキソスは叶わぬ恋にやせ細り死んでしまいます。そのあとに美しいスイセンが1輪咲いたという話は有名ですね。 これからナルシズムという言葉が生まれ、スイセンの花言葉も「エゴイズム」。

ところがナルキッススの語源はもう一つ説があるそうです。「麻痺」という意味のギリシャ語ナルキソスから来た言葉で、スイセンのバルブには神経を麻痺させる成分が含まれているためだとか。 こちらの方は上のロマンティックな伝説に比べ、なかなか理論的です。植物には結構有毒なものも多く、可憐でやさしいスィートピー(sweetpea)も「甘い豆」という名前にもかかわらず有毒ですが、スイセンもバルブだけでなく花も有毒だそうです。

スイセンに限らず、球根植物は花後も葉を切らないことが大切です。葉が養分を作り、球根に蓄えるので球根が大きくなり来年また咲いてくれます。

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