ユリ

豪華なカサブランカも素敵ですが、私はテッポウユリが清楚な感じで好きです。毎年、きれいな花を咲かせてくれ、我が家のちょっと薄暗い庭もそこだけポッと光がさしているように明るくなり、何だか心楽しくなるような気分でした。今年は忙しくほったらかしにしてしまったせいか、あまり咲いてくれないようです。しばらく植替えをしなかったのと、周りの木が伸び放題で日当たりが悪くなってきたためでしょう。

「ユリ」という名前は、大きな花が風でゆらゆらすることから「揺れる」がなまったのではないかとも言われています。「歩く姿はユリの花」というように「ユリ」は美しい女性をあらわすものとして古くから歌に詠まれてきました。

ギリシャ神話では、ゼウスの妻ヘラの乳から生まれた聖花とされています。また、最初の男性と言われるアダムの妻イブが禁断の果実を食べてエデンの園を追放される時に流した悲しみの涙が地上に落ちてユリの花になったという言い伝えもあります。

古今東西を問わず、ユリのあの美しい色・フォルムには多くの人が惹きつけられるのでしょうね。ユリの英名はもちろんlilyですが、学名はLiliumです。ラテン語で li は「白」 lium は「花」を意味するそうで、やはりユリは「白い花」ということなんですね。


マドンナ・リリーという白いユリがありますが、キリスト教では、白いユリは聖母マリアの純潔を象徴するものとされていました。江戸時代に日本原産のテッポウユリがヨーロッパに紹介されるとイースター・リリーと呼ばれてイースター(復活祭)には欠かせないユリとなっています。教会の祭壇には、「処女性を守るため」雄シベと雌シベを取り除いたユリが飾られました。今でも花粉がつかないように雄シベを取ることがありますね。確かにあの花粉は服についたり花びらに付いたりしてやっかいなものですが、雄シベを取ったユリは何か間が抜けたようにも感じます。やはりあの雌シベ・雄シベがアクセントになってユリの美しさが完璧になっていると思うのですが。


ユリは球根の上にある上根から土の中の養分を吸収するので、他の球根類よりも深植えにしないといけません。地植えだと30cm位掘らないといけないのでなかなかの力仕事で腰が痛くなります。でも、あの美しいユリを見るためには仕方ありませんね。そして周りの木を剪定して・・・。庭仕事って本当にきりなくあります。

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